〜 商工会改革を提案し新時代の商工会を開く 〜

商工会改造プロジェクトは、長野県宮田村商工会に勤務していた元経営指導員 湯沢健二が これからの商工会のあるべき姿について意見発表を行い、全国の心有る同士諸君と議論する超前向きなページです
広報改造論
商工会における広報活動の重要性
「商工会は何をやっているのかわからない」「商工会は売り出しやイベントをやっているところ」というのが一般の皆さんの認識でしょう。行政にもけっこう認識不足があります。
わからない方が悪いのではなく、商工会の方がわかってもらう努力を怠ってきたのではないでしょうか。当商工会は積極的な広報活動にも力を入れてきました。
商工会は地域の商工業者と地域経済のために、こんなに役に立っている。それはひいては地域に暮らす皆のためになっている。行政も住民も分かってくれているはずだし、分からないとすれば認識不足だ。
 商工会役職員の多くが、そう思っているのではないでしょうか。しかし、認識不足は商工会の方です。積極的に情報提供して分かってもらう努力をしなければ、気がついたら味方は誰もいなかった、なんてことになりかねません。
 宮田村商工会は平成11年から農協有線放送を使って、商工会の歴史的経過を説き起こし、いかに多くの有益な活動を行ってきたか、そしてそれがどのように住民とかかわっているかを、説いてきました。その結果、商工業者ではない多くの味方を得ることができました。
 一般住民を中心にした特別委員会が、部会などの従来の商工会組織を凌ぐほどの活発な事業推進を行っていることも、このような素地の上に成り立っています。

広報の取り組み
番組の収録風景
番組の収録風景
会員向けの商工会報、一般向けの新聞記事とケーブルテレビの番組で広報を行っています。
  このうち、ケーブルテレビ番組は役場が持っている行政チャンネルの中で行います。15分程度の番組が1日に6回流れ、1週間で次の番組と切り替わります。このうち、月1本を商工会が負担金を支払って制作しています。年間70万円ほど負担することになりますが、一般の皆さんに商工会を理解していただく点で、たいへん効果があがっています。
  広報への取り組みは次のような経過で拡大してきました。
1.平成10年6月、商工会員向けの会報「商工会報みやだ」を発刊、A4版1枚
  平成11年1月から毎月発行とする(現在にいたる)
2.平成11年度から地元新聞社に積極的な記事提供開始
3.平成11年度、農協が運営する有線放送に「商工会だより」コーナーを新設(この年は不定期随時)
  内容は商工会員向けではなく村人すべてに向けたものとする
  平成12年4月から毎月1回の定例とする
  平成12年12月から毎月2回の定例とする
4.平成15年4月、有線放送にかえて宮田村、駒ヶ根市、飯島町をエリアとするケーブルテレビに参加、月1回定例の独自番組を制作放映(現在にいたる)
5.平成17年4月、ケーブルテレビのエリアが中川村に拡大される

当商工会の記事が数多く掲載されるわけ
村・農協と共同制作の「みやだガイドマップ」
村・農協と共同制作の「みやだガイドマップ」
地元新聞に掲載された当商工会の記事は昨年に続き年間120回を数えました。これは、3日に1度当商工会の情報が地域の皆さんの目に触れているということです。数多く掲載される理由は、もちろん、新規性、独自性の強い事業を数多く展開しているからに他なりませんが、そればかりではありません。宮田同様、積極的に事業展開をしている商工会や商工会議所もありますが、あまり記事ではみかけません。それは、積極的な記事提供をしないからです。
  私はどんなに忙しくても、たとえ今日の会議の資料が間に合うかどうかという切羽詰った状況でも、記者にはていねいに応対します。相手が「じゃあ、この辺で」と言わない限り私の方から話を打ち切ったりしません。嫌なやつの記事は仕事だとしてもできたら書きたくないし、頑張っている人には何とか応援してやりたいと思うのが人情ですからね。
  この記事提供は、検討の過程も一般に広く公開するということです。これが地域に開かれた商工会を作る第一歩です。理事会で最終決定するまで発表するべきではない、という意見があります。しかし、最終決定されたあと発表したのでは、一回しか記事になりません。これまでのやり方では露出度が低く、一般の目には留まらず、商工会は何をやっているのか分からない、となります。
  事業研究の過程から積極的に情報公開することが、行政や住民の理解につながり、論議が巻き起こることで審議も尽くされるのだと思います。組織のルールや手順に固執すると、商工会自体が地域の中で孤立することになると考えています。