〜 商工会改革を提案し新時代の商工会を開く 〜

商工会改造プロジェクトは、長野県宮田村商工会に勤務していた元経営指導員 湯沢健二が これからの商工会のあるべき姿について意見発表を行い、全国の心有る同士諸君と議論する超前向きなページです
財政改造論
収益事業の考え方
学院の公共職業訓練事業
学院の公共職業訓練事業
当商工会は財源を作ることが何より優先するなどとは考えていません。改革プランにおいても5つの改革のうち「財政改革は」最後に置かれています。小規模事業者に対するきめ細かな支援を行うには単独組織体制を貫くことが必要だと考え、そのためには安定した財政を築くことが重要。つまり、財政改革は目的ではなく手段であると考えているのです。単に利益をあげればよいということではなく、地域と会員のためになる事業を行い、ためになる事業であるから多くの方が利用し、その結果、差益が残ります。
  この差益を、地域のために行う振興事業に投下することで二重の効果をあげることができるのです。
  ところで、お金を稼ぐことだけが目的ならどこかの代理店になって商品を会員に売りつければ簡単に作れます。しかし、会員を犠牲にして組織を守ることは背信行為です。良い商品、サービスを良心的な価格で提供すること、ただ売るのでなく、その活動自体が地域振興になり会員のためになること。そうであれば必ず地域と会員から支持され、いずれは大きな花が咲くと信じています。
  また、商工会が行う収益事業は、それ自体が地域振興事業としての意味がなければいけないし、絶対に失敗するわけにいかない。このことから、ローリスクローリターンにならざるをえないのです。いくつかの事業を並行して進め、全体として必要な収益を確保する考え方がよいでしょう。
  宮田村商工会が、学院のほかに、旅行紹介事業、外国人研修生受入事業、アクサ生命など多くの収益事業を実施しながら、さらに記帳計算センターなどの新規収益事業に関心を持っているのはこのためです。
  こうして、宮田村商工会は着実に自己財源比率を上げてきたし、県補助金が現実に4割減っても事業を縮小するどころか新規の地域振興事業を次々に立ち上げているのです。

収益事業以外の財政改革の取り組み
学院卒業記念写真
学院卒業記念写真
 宮田村商工会は収益事業で有名ですが、財政改革は収益事業だけではありません。まず、平成12年度に補助金の削減などに対応するための引当金を創設しました。14年度までに350万円を積み立てました。
 次に、平成13年度には補助金削減への対応シミュレーションを実施しました。10%から50%までの削減が1年で、あるいは2年で行われることを想定し、13パターンの削減への対応策を示したものです。その目的は、大幅な削減に対して事業費、人件費の一律カットという安易な対応をとらないように、道を示すことにありました。
 この2つの事前措置があったおかげで、14年の年末に示され15年度に実施された補助金の大きな削減にも慌てることなく、従来どおりの積極的な予算を策定することができたのです。

宮田ビジネス学院
学院の常設教室の様子
学院の常設教室の様子
商工会の収益事業は、失敗して赤字を出すことは絶対できないので、大きな在庫や設備投資は危険です。また、事業の内容は地域の理解を得られるもの、地域振興に資するものである必要があります。その点、パソコン教室は商工会がこれまで実施してきた研修事業の延長線上であり、会員企業のための教育事業、雇用確保事業としての意味もあります。
宮田ビジネス学院は平成13年3月に開校しました。開校時から常設の教室をめざし、将来は上伊那地域を代表するビジネス専門学校になりたいという夢を持って取り組んできました。
 毎月のように新規講座を投入し、新しい講習システムを工夫し、大勢のインストラクターを直接雇用して教育してきた結果、午前10時から午後9時まで、毎日大勢の受講生であふれる教室になりました。また、講習の内容も、パソコン操作にとどまらず、簿記やビジネスマナーなどを含む総講習時間396時間の職業訓練まで行える実力をつけてきました。
 全国の商工会でも、会館の空部屋を使ってパソコン教室を開校し、収益事業とすることが可能です。人件費と投資コストを抑えるノウハウが宮田ビジネス学院にあります。学院と提携すれば、わずかな備品を購入し、インストラクターとしてパートを1名雇用するだけで開校でき、リスクなく、上がってくる利益の中から事業を拡大していくことが可能です。

わいわいクラブ
わいわいクラブ
わいわいクラブ
 日本パソコンスクール協会が中小企業者向けの事業として平成16年5月からスタートした「わいわいクラブ」が商工会の収益事業として最適だと考えています。
 サービス内容は、簡易ホームページ作成システム、同携帯電話ホームページ作成システム、自動返信メール、販促ツールとして使えるカラメールシステムの4つです。商工会は収益事業として勧誘するだけでなく、事業者が加入した後これを材料に経営指導できます。また、事業者の負担は、上記4つのサービスを何回利用しても月額3,000円(クレジット課金)で加入金はありません。
 加入するにはホームページから加入申込を行うことになりますが、その際に必ず販売代理店となっている協会加盟校のID番号を入力する必要があります。そこで、宮田ビジネス学院(ID番号0267)を入力していただくと私どもに手数料が入りますので、その中から当該地区の商工会にお礼をしようと思います。これが皆さんの商工会の収益になります。
 皆さんがやることは基本的には「わいわいクラブ」を紹介することだけです。契約の代行も集金業務も一切の書類手続きも必要ありません。また、宮田村商工会との契約も事業者の加入の報告も、手数料の請求も不要です。
 宮田では、他地区の事業者が学院のIDを選択されて加入されたなら、こちらから当該地区の商工会等に連絡し手数料送金の申し出をしようと思います。
 詳しいことは、宮田ビジネス学院HP、協会HPをご覧ください。

旅行業(旅行紹介事業)
会館内にある旅行コーナー
会館内にある旅行コーナー
平成13年9月の理事会に、旅行業を新規収益事業として提案した折には、一部理事から「職員の雇用と給料を守るために我々がそこまでやらなければいけないのか」「商工会が民間事業に進出すればいずれ民業を圧迫する商工会になる」という強い反対意見がありました。
  しかし、その後の職員の働く姿勢、収益事業が地域の皆さんに支持される様子からご理解をいただけるようになってきたと感じています。商工会館内に設置された「旅行コーナー」には、会員だけでなく一般の皆さんも自由に出入りされ旅行会社各社のパンフなどを見ています。商工会は旅行業者ではないので企画・手配などはできませんが、公平な立場でアドバイスを行い喜ばれています。
  また、商工会がこの紹介事業を行うことによって旅行機運が盛り上がり、経済の活性化につながっていること、地域の皆さんが商工会を身近に感じていただき、ファンになってくれること、などの副次効果もあります。
  今後は旅行業者となって自ら手配を行い、将来的には独自のツアーを企画して、外から観光客を呼んで来たいと考えています。